チラシやフライヤーを自分で作るときにつまずくのが配色です。単色だとレイアウトはそんなに難しくないのに、カラーになった途端レイアウトでアタマを悩ませる…ということはありませんか?
なんとなくぼんやりとこんな色味がいいなぁと思っていても、実際に配色してみるとイメージが違う…すごく悩みますよね。
実は人は色から想像以上に多くのイメージを得ています。これは視覚情報はかなり多くの脳のリソースを使っていることや、色は波長であることなどが関係しています。詳しくはこちら ⇒ 色・配色の論文
ここではデザインに必要な基本的な色の持つイメージについて解説していきます。
デザインをする時に色から想起されるイメージを理解して、その効果を利用することによってよりコンセプトを伝えやすくします。色の知識を得ると随分とデザイン力がアップするでしょう。
【チラシ・フライヤーは配色が命】デザインするには色相の持つイメージを知ろう
世の中にあふれる様々なプロダクトには色のもつイメージを利用してよりその商品が人の目につくように、またコンセプトが伝わるように作られています。
わたしたちがデザインする上で真っ先に考えるのが「色と配色」です。
しかし色についての知識がなく特に意識していなければ、実際のところは「この色を見たらこんな気持ちになる」というのは気づかないものです。
しかし製品を作る側はかなり「色」に対しては意識をしています。なぜなら色の持つ人への深層レベルへの影響はかなり大きいからです。色には波長がありその届き方によって「色」として人は認識しています。
色の持つパワーは大きいです。例えば食欲やメンタルではこんな影響があります。
食欲
- 赤やオレンジ色のアクセントカラーのあるお店は食欲をそそる
- 食器や内装の雰囲気が寒色系、ダークな色合いであると食欲はグンと落ちる
メンタル
- 赤色を身につけると元気になる
- 青をみると落ち着く
多少のバイアスがかかっているにしても人の行動に大きな影響があることが分かりますよね。
では「色」についての基本的な色相の持つイメージと明度・彩度によるイメージについて…もちろん色んな色を混ぜることで無限の表現がなされますが、ここでは基本的な9色について解説していきます。
色相の持つイメージ9種類
色相のイメージは単色でそれぞれに想起させるイメージがあります。色は波長なのでかなり人のメンタルとリンクしているところがあります。以下の図にそれぞれ基本カラー色相のイメージを記しています。
- 赤 情熱・危険・興奮・革命
- 橙 嫉妬・快活・健康的・歓喜
- 黄 軽快・陽気・冗談・明快
- 緑 平和・自然・安全
- 青 鎮静・清涼・爽快・清純
- 紫 高貴・優雅・気品・心配
- 白 清潔・平和・潔白・清楚
- 灰 平凡・憂鬱・退屈・陰鬱
- 黒 暗黒・罪悪・死・厳粛・悲哀
チラシやフライヤーは色だけでなくフォントや使用する画像のイメージも大きく関わってきますが、ここでは「色」に絞ってのお話です。沢山色をつかうことによってイメージが複雑になったりアクセントカラーなどの使い方によっては例外も多くある事はご承知くださいね。
では各色のイメージからどういった目的のチラシやフライヤーのベースカラーにしていったらよいかを見ていきましょう。
赤 情熱・危険・興奮・革命
赤は人の感情に強く作用し本能的な興奮などを誘発します。単色だとかなりキツイ印象になりますが様々な配色によって効果的に人の目を引く色になります
- 赤+暖色系 元気・活発
- 赤+明るい明度 可愛い・ポップ
- 赤+暗い明度 重い・危機感・興奮
橙 嫉妬・快活・健康的・歓喜
橙は赤に黄色の陽気さが混ざった色なので、基本的には健康や食事、ウキウキしたものに利用されることが多いですが、以外にも「嫉妬」の色でもあります。ダークな色との配色で心理効果も高いですね。
- 橙+赤 食欲をそそる・元気・にぎやか・暖かさ
- 橙+ヴィヴィトな色 子供らしさ
- 橙+黄色 スポーツ・活発
黄 軽快・陽気・冗談・明快
黄色は陽気さが前面に出た色です。配色によっては目立つ色として危険を知らせるものにもよく使われています。ベースに使う場合はポジティブなイメージになります。
- 黄色+ヴィヴィット こどもらしさ
- 黄色+寒色 スポーティ
緑 平和・自然・安全
緑は自然や落ち着きなどの表現に使われます。ナチュラル系のものや暖色の引き立てなど自然の色としての認識が大きい。
- 緑+寒色 男の子っぽさ
- 緑+暖色 暖色のイメージを引き立たせる・食事・野菜
青 鎮静・清涼・爽快・清純
青は冷静さと知性の象徴として使われることが多いです。あと海の色の表現に使われる事から水のイメージも。清涼感などさわやかという印象が強い
- 青+寒色 寒さ・涼しさ・男性らしさ・スポーツ
- 青+暖色 暖色のイメージを引き立たせる
- 青+暗い明度 落ち着き・大人っぽさ
紫 高貴・優雅・気品・心配
紫は高貴な色として使われることが多いです。野菜や果物にもある色なので食物のイメージをダイレクトに感じさせる時にも使います。
- 紫+明彩度の濃淡 高級感・エレガントさ・日本的
- 紫+赤系 赤のイメージに品を加える
- 紫+暗い色 大人っぽさ
白 清潔・平和・潔白・清楚
白は無垢なイメージが強いですが、チラシなどで白ベースでデザインするとアクセントカラーのイメージが強烈に入ってきます。特に「余白」としてのイメージが強くなるため、人の想像力(余白)をかきたてるデザインや、他に使う色を強烈に引き立たせたい時、また無機質なイメージにも使われます。
灰 平凡・憂鬱・退屈・陰鬱
グレーは明度によってイメージが少し変わってきますが、「影」のイメージが強いのでメインカラーとして使う時には重くどんよりしたものになります。配色では他のどんな色もイメージを弱めてしまうので使い方が難しいカラーです。
黒 暗黒・罪悪・死・厳粛・悲哀
黒は重さの象徴です。インクの混ぜ方でかなり印象が変わるのでメインカラーとして使う時はCMYKの配色バランスも知っておく必要があります。
暗い・黒い・重いイメージのものを作りたい時は黒ベース。配色では赤や黄色など興奮させる色を重苦しいイメージと共に演出できます。
明度・彩度によるイメージ13種類
明度は簡単に言うと白っぽいか黒っぽいか。彩度は基本となる色が濃いか薄いかという感じでイメージすると分かりやすいです。
この度合いによって色のイメージが13種類あります。チャートには白⇒黒も載せてあります。カラーではvivid ○○のようになります。
- vivid(ビビット) 鮮やかな・派手な
- light(ライト) 明るい・陽気な
- strong(ストロング) 強い・くどい
- deep(ディープ) 深い・濃い
- pale(ペール) 淡い・軽い
- soft(ソフト) 柔らかい
- dull(ダル) くすんだ・鈍い
- dark(ダーク) 暗い・大人っぽい
- very pale(ベリーペール) ごく淡い
- light grayish(ライト) 明るい灰色みがかった
- middle grayish(ミドルグレイッシュ) 灰色がかった・濁った
- dark grayish(ダークグレイッシュ) 暗い灰色がかった・重い
- very dark(ベリーダーク) ごく重い・ごく暗い
※もう少し細かく分けたものもあります。
色のイメージにおけるデザインのポイント
チラシやフライヤーをデザインする時には、催しの内容に沿ったイメージを「色」に変換することが大事です。イメージが今一つよく分からない…という場合は
利用する画像の色をベースにしてデザインしてみる
ことから始めて下さい。少々イメージと違っていたとしても使用する画像がそもそも催しのイメージなので、そんなに問題ないデザインになると思います。また画像が人物の場合は人物にスポットがあたったイメージとなるので、催し内容より人物が前面に出る印象になります。
まとめ
あくまでの視覚は「人の感覚」の話なので例外的な方もいます。
デザインでイメージに行き詰った時の参考に、この色はこういうイメージがあるのだなと認識して頂くと良いと思います。
自作する場合はとりあえず作ってみるというのが大事です。プロ仕上げのように作ろうと思うならプロのデザイナーにお任せした方がよいでしょう。
参考学術論文
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